COPD(肺気腫)

慢性閉塞性肺疾患(英語の頭文字からCOPDと略されます)は、タバコの煙を主とする有害な物質を長期間吸入することで肺に炎症が起こり、徐々に息切れや咳、痰などの症状が現れる病気です。以前は「肺気腫」「慢性気管支炎」という名前で呼ばれることもありましたが、近年「COPD」という名称に統一されました。長年の喫煙が原因となっていることがほとんどで、肺の生活習慣病とも言えます。

どんな症状が出るの?

最初は階段や坂道の昇り降りの際に感じる「息切れ」で気づかれることが多いです
また慢性的に咳や痰が出たり、「ひゅーひゅー」「ぜーぜー」といった喘鳴と呼ばれる症状が出ることもあります。

炎症をそのままにしておくとどうなるの?

まずはご本人の喫煙歴や症状などをうかがい、その内容からCOPDを疑い呼吸機能検査という検査を行います。COPDの方では、息の吐き始めに吐ける空気の量が減るため、1秒間に吐き出せる息の量の割合を計算し、その値が診断の指標になります。
また、X線検査などでCOPDによく似た症状を起こす他の疾患の除外を行うことも重要です。

咳が週単位で続く場合は要注意!

禁煙ができていない方の場合には、喫煙をやめることが最も確実な治療法になります。
またCOPDの方がインフルエンザや肺炎にかかると肺機能が一層悪くなるため、予防のためのインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンの接種も重要です。薬物療法としては気管支を広げる働きを持つ薬剤を吸入します。
またCOPDの方は呼吸に通常より多くのエネルギーを使うため体力や筋力が落ち、さらに呼吸が苦しくなるという悪循環に陥りやすく、十分な栄養を摂ることも必要です。

咳が週単位で続く場合は要注意!

禁煙できないままの状態が続くと、さらに肺の構造が破壊され少しの動作で息切れするようになり日常生活に大きな支障が出てきます。
経過中急激に呼吸の状態が悪くなる”増悪”という病態もしばしば起こり、気管支拡張薬の吸入をすることによりその頻度が減らせることがわかっています。
また気管支拡張薬による治療は、COPD患者さん全体の死亡率を下げ、中等症のCOPD患者さんでは呼吸機能が落ちるのを抑制するというデータも出ています。
COPDによる全身性炎症が、心臓や脳の血管疾患・糖尿病・抑うつ・脂質異常症など様々な併存疾患に関与している可能性も指摘されています。

COPDが引き起こす恐れのある病気

日本では40才以上の方の8.6%がCOPDであると考えられていますが、その多くが医療機関にかかっておらず未治療の状態です。早めの診断・治療により症状を軽減し、後の経過を良くすることができます。喫煙されている方、禁煙はしているけれどもご自分の肺機能が気になる方、すでに息切れを自覚されている方などは是非一度ご相談ください。また当クリニックでは禁煙外来も積極的に行なっておりますので、併せてご相談ください。