眠っている時にご家族からいびきを指摘されるという方は多いと思います。
そのような方の中で、いびきのみならず呼吸が一時的に止まってしまうという方がおられます。10秒間の呼吸停止が睡眠中1時間に5回以上起こる状態を「睡眠時無呼吸症候群」と呼びます。
2003年新幹線の運転手さんが居眠り運転をしてしまい緊急停止するという事故が起こりました。後にその原因が睡眠時無呼吸症候群であったことがわかり、この病気が大きく注目されるようになりました。これに象徴されるように睡眠時無呼吸症候群の患者さんは夜間の睡眠が不十分になるため、日中に過剰な眠気が生じます。ひどい時には人と話をしている途中で眠ってしまうという通常ではあり得ないことも起こります。これにより日中の仕事に支障が出たり、交通事故や重大な仕事中の事故の原因なることがあります。
また肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病と深く関連し、睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと種々の合併症で早く命を落としてしまう確率が高くなることが知られています。
「睡眠時無呼吸症候群」でクリニックを訪れる方は、日中の過度の眠気を自覚したり、ご家族から睡眠時の無呼吸を指摘され受診されるケースがほとんどです。まず日中の眠気の評価をESSという問診で行います。経過や問診から睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まずはご自宅に機械を持ち帰っていただき睡眠中の状態を評価する簡易検査を行います。この簡易検査の結果を踏まえ、必要に応じて1泊入院して行う終夜睡眠ポリグラフ検査を行うこともあります。
睡眠時無呼吸症候群と診断され、睡眠検査で治療適応と判断された場合には、内科的治療・歯科的装具・手術などのうちから担当医が適切な治療法を決定します。
その中で最も多く行われているのがCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)という内科的治療方法です。具体的には鼻にマスクを装着し、そこに機械から空気が送り込まれ寝ている間の無呼吸を防ぐという方法です。装置・マスク一式は保険診療の一環としてレンタルでき、3割負担の方で月5000円程度の負担で治療を受けることができます。