呼吸機能検査(別名:肺機能検査 英語でスパイロメトリーとも言います)は呼吸器科外来ではX線検査と並んで最も多く行われる検査の一つです。
「肺活量」という言葉をご存知の方も多いかと思いますが、呼吸機能検査ではその他いろいろな値、指標を用いて肺の力を判断します。
そこで基本的な項目・検査についてどのように測定し、どのような病気の指標になるのかをお伝えしたいと思います。
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肺活量
空気を吸えるところまで吸い込んで、そこからゆっくりと吐き出し、吐き出せる限界のところまで吐ける空気の量を調べます。年齢と体重から正常値を計算することができるため、正常の人を100%として何%の息が吐けるかを指標にします。正常の80%未満しか息が吐けなかった場合には異常と判断します。
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努力性肺活量
上記の肺活量の一種で、吸えるところまで息を吸い込んでから吐くというのは同じですが、肺活量と異なる点は、吐く時にできるだけ勢いよく一気に吐くという点です。この「一気に吐く」というのがポイントで、検査の時にある程度の慣れも必要で、何回か検査して十分に息が吐けたと思われる値を採用します。
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1秒量
努力性肺活量のうちで、最初の1秒間に吐けた空気の量のことです。空気の通り道が狭くなる病気では、この1秒量が減少します。COPDでは正常の人に対してどのくらいこの1秒量が下がっているかが重症度の指標になります。
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1秒率
1秒量を努力性肺活量で割った値を%で表したものです。70%以上を正常としますが、近年慢性閉塞性肺疾患(COPD)をより感度よく見つける目的で75%未満を異常値と考え検診を行っている施設もあります。
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気道可逆性試験
気管支を広げる薬剤の吸入前と後とで、1秒量がどのくらい増えるかを見る検査で、気管支喘息を診断する際の目安の1つとなっています。
症状を自覚しなくても肺の能力が落ちていることがあります。
現在喫煙している方、過去に喫煙歴のある方の場合、息切れなどの症状が全くない方でも呼吸機能検査をすれば閉塞性障害の徴候が出ているということもしばしばあります。
ちょっとしたコツと呼吸の努力は必要ですが、採血などと違い痛みも伴わず息を吐くだけの検査ですので、一度是非ご自分の肺の状態をチェックしておくことをおすすめします。
以上のような値からさらにどのように病気を見分けていくのかについては
別の記事 : 呼吸機能検査って? 〜拘束性障害と閉塞性障害〜でお伝えしたいと思います。