禁煙による心筋梗塞のリスク低下効果

 以前の記事(禁煙による肺癌リスク低下効果)で禁煙によりどのくらいの期間で肺癌のリスクを減らせるかお伝えしましたが、今回は禁煙と心筋梗塞の関係についてお伝えします。

 喫煙は癌だけでなく、様々な血管系の病気のリスクと関連しており、喫煙していると虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)のリスクが1.7倍、クモ膜下出血のリスクが1.8倍になるなど、命に関わる血管系の病気がタバコにより引き起こされることが知られています。

 下のグラフは、アメリカの女性約900人を対象にした調査の結果で、喫煙したことがない人に心筋梗塞が起こる確率を1とした場合の、心筋梗塞発症の危険性を表しています。(NEJM 322:213-217;1990より引用)
禁煙による心筋梗塞リスク低下

 横軸は禁煙してからの期間を表しており、禁煙することによりどのくらいの期間で心筋梗塞の危険性が下がるかを示しています。

 タバコを吸っている人は、吸ったことがない人に対して3.6倍心筋梗塞のリスクが高いことがわかりますが、禁煙してから1年以内にそのリスクは下がり始め、2-3年でタバコを吸ったことがない人とほぼ同じ危険性にまで下がるのがおわかりいただけると思います。

 「タバコを吸っているとこんなに悪いことがある」というフレーズは、タバコを吸っている方にとって耳の痛い内容ですが、「タバコをやめるとこんなにいいことがある」という発想の転換で、是非一人でも多くの方が禁煙を決意されることを願っています。

 (喫煙習慣はニコチン中毒という立派な病気であり、保険を使った薬剤治療により禁煙時の苦痛を和らげることができます。禁煙を決意された方は是非一度ご相談ください。)

きのした呼吸器内科クリニック
内科/呼吸器内科/アレルギー科/リウマチ科
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