徳島アレルギーフォーラムで喘息について講演させていただきました(^^)

2016/2/21に徳島大学病院で行われた「徳島アレルギーフォーラム2016」にて
「ぜんそくと上手に向き合い健康で生き生きとした生活を」というタイトルで
講演させていただきました。

何才になっても快適な呼吸を保っていただくために
吸入ステロイドの継続がいかに大事かという
当院に喘息でかかっておられる患者さんに普段お伝えしていることを
一般の方向けによりわかりやすい形でお伝えできればと考えつつ講演を行いました。

お休みのところ、当院かかりつけの患者さん始め多くの方にご参加いただきました。
お集まりいただき本当にありがとうございました(^^)

アレルギーフォーラムでの講演の様子

アレルギーフォーラムでの講演の様子

きのした呼吸器内科クリニック
内科/呼吸器内科/アレルギー科/リウマチ科
http://kinoshita-tokushima.com/
〒770-8056 徳島市問屋町32
TEL 088-678-8222

2015年12月14日にクリニックがオープンしました(^^)

 きのした内科呼吸器クリニックは2015/12/14(月)にオープンさせていただきました。開院にあたり本当にたくさんのお花や電報、激励のお言葉などをいただき、あらためて本当にたくさんの方に支えていただいてここまで来られたということを実感しております。受診された患者さんに「あたたかい気持ち」で帰っていただけるクリニックを目指して一歩ずつ歩んでいけたらと思っております。今後ともご支援のほどよろしくお願い致します。

2015年12月14日
きのした内科呼吸器クリニック
院長 木下 勝弘

きのした内科呼吸器クリニックのホームページはこちらです。

禁煙による心筋梗塞のリスク低下効果

 以前の記事(禁煙による肺癌リスク低下効果)で禁煙によりどのくらいの期間で肺癌のリスクを減らせるかお伝えしましたが、今回は禁煙と心筋梗塞の関係についてお伝えします。

 喫煙は癌だけでなく、様々な血管系の病気のリスクと関連しており、喫煙していると虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)のリスクが1.7倍、クモ膜下出血のリスクが1.8倍になるなど、命に関わる血管系の病気がタバコにより引き起こされることが知られています。

 下のグラフは、アメリカの女性約900人を対象にした調査の結果で、喫煙したことがない人に心筋梗塞が起こる確率を1とした場合の、心筋梗塞発症の危険性を表しています。(NEJM 322:213-217;1990より引用)
禁煙による心筋梗塞リスク低下

 横軸は禁煙してからの期間を表しており、禁煙することによりどのくらいの期間で心筋梗塞の危険性が下がるかを示しています。

 タバコを吸っている人は、吸ったことがない人に対して3.6倍心筋梗塞のリスクが高いことがわかりますが、禁煙してから1年以内にそのリスクは下がり始め、2-3年でタバコを吸ったことがない人とほぼ同じ危険性にまで下がるのがおわかりいただけると思います。

 「タバコを吸っているとこんなに悪いことがある」というフレーズは、タバコを吸っている方にとって耳の痛い内容ですが、「タバコをやめるとこんなにいいことがある」という発想の転換で、是非一人でも多くの方が禁煙を決意されることを願っています。

 (喫煙習慣はニコチン中毒という立派な病気であり、保険を使った薬剤治療により禁煙時の苦痛を和らげることができます。禁煙を決意された方は是非一度ご相談ください。)

きのした呼吸器内科クリニック
内科/呼吸器内科/アレルギー科/リウマチ科
http://kinoshita-tokushima.com/
〒770-8056 徳島市問屋町32
TEL 088-678-8222

慢性閉塞性肺疾患 〜COPD〜 について

COPDって何?

 慢性閉塞性肺疾患(英語の頭文字からCOPDと略されます)は、タバコの煙を主とする有害な物質を長期間吸入することで肺に炎症が起こり、徐々に息切れや咳、痰などの症状が現れる病気です。
 以前は「肺気腫」「慢性気管支炎」という名前で呼ばれることもありましたが、近年「COPD」という名称に統一されました。長年の喫煙が原因となっていることがほとんどで、肺の生活習慣病とも言えます。

COPDの症状とは?

 最初は階段や坂道の昇り降りの際に感じる「息切れ」で気づかれることが多いです。
 また慢性的に咳や痰が出たり、「ひゅーひゅー」「ぜーぜー」といった喘鳴と呼ばれる症状が出ることもあります。

COPDの診断について

 まずはご本人の喫煙歴や症状などをうかがい、その内容からCOPDを疑い呼吸機能検査という検査を行います。(息を思い切り機械に向かって吹き込むあの検査です(^^))。COPDの方では、息の吐き始めに吐ける空気の量が減るため、1秒間に吐き出せる息の量の割合を計算し、その値が診断の指標になります。
 また、X線検査などでCOPDによく似た症状を起こす他の疾患の除外を行うことも重要です。

COPDの治療について

 禁煙ができていない方の場合には、喫煙をやめることが最も確実な治療法になります。
 またCOPDの方がインフルエンザや肺炎にかかると肺機能が一層悪くなるため、予防のためのインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンの接種も重要です。薬物療法としては気管支を広げる働きを持つ薬剤を吸入します。
 COPDの方は呼吸に通常より多くのエネルギーを使うため体力や筋力が落ち、さらに呼吸が苦しくなるという悪循環に陥りやすく、十分な栄養を摂ることも必要です。

気管支喘息とCOPDが重なった病態
気管支喘息−COPDオーバーラップ症候群(ACOS)について

 喘息とCOPDはいずれも「閉塞性障害」(閉塞性障害についてはこちらの記事を参照ください)という空気の通り道が狭くなる呼吸器疾患に属し、特に喫煙歴があるご高齢の方では両者の区別が難しい場合も多いと言われています。

気管支喘息−COPDオーバーラップ症候群(ACOS)とは?

 以前から気管支喘息とCOPDの両方の要素を持つ患者さんがおられ、「COPD合併喘息」「オーバーラップ症候群」などの名称で呼ばれていましたが、2014年COPDと喘息の国際委員会で名称が統一され「喘息ーCOPDオーバーラップ症候群」と呼ばれるようになり呼吸器科医の中でトピックとなっています。

どのくらいの人がACOS?

 COPD患者さんの中でのACOSの方の比率は20-50%前後と言われており、逆に高齢の喘息の方の中でCOPDを合併していると考えられる方は20-30%前後と報告されています。

ACOSの診断について

 慢性的な咳・痰・息切れや「ぜーぜー」などがあり、喫煙歴がある方のうち、画像診断やその他の検査で結核や間質性肺炎など喘息・COPD以外の病気を除外されたを中心に、喘息とCOPDのどちらの要素が強いか以下のようなポイントを中心に検討していきます。

  • 発症時期は比較的若年かもしくは40才以上での発症か
  • 息切れ・「ぜーぜー」などの症状が発作的に起こるか日常的であるか
  • 夜間や早朝に症状が強くなるか
  • ホコリや各種アレルゲンなどが引き金が関与しているか
  • 喘息やアレルギーの家族歴があるか
  • X線検査で肺の膨張が強いかどうか
  • 呼吸機能検査で気流閉塞の変動があるか(可逆性があるか)

上記のような検討で気管支喘息の要素・COPDの両方の要素を複数持つ場合、総合的にACOSと診断します。

ACOSの治療について

 上記のような検討から、ACOSと診断されればまずは吸入ステロイド薬(喘息の標準的な治療薬)で治療を開始します。また状況に応じて長時間作用型の気管支拡張薬(β刺激剤や抗コリン薬など)の追加を検討します。
 
 喫煙歴のあるご高齢の方でいわゆる「ひゅーひゅー」「ぜーぜー」が起こる方は多くおられ、かねてから「喘息」「肺気腫」「喘息の気」など様々な呼び方がなされてきました。上記のような方の治療法についてもこれまで確固とした方針は示されていませんでしたが、近年ACOSという病態の概念が整理され、治療法も標準化されつつあります。
 喫煙歴や症状から自分も該当するのでは?と思われる方は一度ご相談いただければと思います。