禁煙による肺癌リスク低下効果

 最近、禁煙が社会的な流れとなり、「たばこを吸っていると身体にこんな悪いことがある(-_-;)」といった啓発をよく目にするようになりました。たばこを吸っている方にとっては耳の痛い内容で、「悪いのはわかってるし自分の身体のことなので大きなお世話」といった感覚になる方も多いかもしれません。(^_^;)
 そこで視点を切り替えて、「たばこをやめるとこんなにいいことがある(^^)」というポジティブな目線でお話をしたいと思います。

 図はたばこを吸ったことがない人が肺癌で死亡する割合を1とした場合、禁煙によってどのくらいの期間で肺癌死亡リスクが下がるかということを日本人で検討した臨床研究の結果です。
(Wakai, K. et al.:Cancer Sci 98(4):584, 2007より引用)

quit_smoking_lung_cancer

 たばこを吸っている人は肺癌死亡リスクが4.71倍になっていて
たばこをやめた後には5年で2.5倍前後、10年で1.8倍前後、15年で1.2倍前後と下がっているのがおわかりいただけるかと思います。

 これを見てどのような印象をお持ちでしょうか? 「たばこの影響が取れるのにこんなに長くかかるのか(^_^;)」と思われる方もおられるかもしれませんが、考えようによっては5年で肺癌リスクが半分で15年でほぼ通常の人とリスクが同じになります。

 また50才よりも40才、40才よりも30才とより早い段階でたばこをやめられた方が早く健康な体を取り戻すことができます。

 たばこによるごく一時的なストレス解消(実はストレス解消にさえなっておらず単にニコチン欠乏症状をたばこで抑えているだけだそうです)と、何十年にもわたって使える健康な体とどちらを選ぶか・・・

 1人でも多くの方が禁煙できて、すっきりした体で毎日を過ごしていただけたらと思いながら日々禁煙治療に取り組んでいます。

(肺癌のリスク低下はややゆっくりかもしれませんが 心臓や脳での禁煙の効果はものすごく早く現れます。それについては後日の記事でお伝えしたいと思います。(^^))