抗ヒスタミン薬と眠気・集中力低下

nemuke_akubi_boy

 花粉症やアトピー性皮膚炎、じんましんなどアレルギー系の病気では、ヒスタミンというアレルギー物質が過剰に働いていて、それを抑えるために抗ヒスタミン薬という薬がよく使われます。ただ、このヒスタミンは脳の中では意識をはっきりさせて集中力を維持する働きを持っており、ヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬は副作用として眠気・集中力の低下などを起こすことがあります。

 薬剤の影響で集中力や判断力、作業効率などが低下する副作用についてインペアード・パフォーマンスという名称がつけられアレルギー専門家の間で注目されています。(→日本語で”鈍脳”と訳されます すごい訳ですね(^_^;))

 ある研究では、試験中にアレルギー性鼻炎の症状があった学生さん1000人前後について鼻炎の症状と抗ヒスタミン薬が成績にどう影響したか調べたところ、鼻炎症状だけだった人では40%前後の人で成績低下の傾向がみられ、抗ヒスタミン薬を服用していた人はなんと70%前後に成績低下の傾向がみられたとのことでした。(J Allergy Clin Immunol 120 (2) : 381, 2007より引用) 
 また「服用中は自動車の運転や危険な機械を操作するような作業には従事しない」という注意が書かれている抗ヒスタミン薬も多くあります。

 とはいえ、これらの副作用が特に問題になるのは古くからある”第一世代”と呼ばれる抗ヒスタミン薬が主で、抗ヒスタミン薬自体も格段に進歩し、”第二世代”と呼ばれるものでは眠気・集中力低下の副作用がぐっと抑えられています。
 アトピー性皮膚炎の症状が特にひどい時には抗ヒスタミン薬でかゆみを効果的に抑えて手で掻いてしまうことによる悪循環を断ち切るということが重要ですし、その他のアレルギー疾患でも抗ヒスタミン薬は欠くことのできない大事なお薬です。

 抗ヒスタミン薬が必要な状況をしっかり見極め、使う場合には極力インペアード・パフォーマンスが起こりにくいものを選ぶという姿勢が大切かと思います。(^^)