肺炎球菌ワクチンについて

vial_image

 日本人の死亡原因は 悪性腫瘍・心臓病・脳卒中 という順位が長年続いていましたが、2011年に肺炎は脳卒中を抜いて日本人の死因の第3位となり、今もその比率は増え続けています。
 
 肺炎球菌は一般の肺炎の原因菌の30%-50%前後を占めると言われており、菌血症(血液中に菌が巡る状態)や髄膜炎など重症の病態を伴いやすいことが知られています。

 また抗生物質が効きにくいタイプの肺炎球菌が増加していることもあり、最近特にワクチンによる予防に重点がおかれるようになっています。

 これを受けて2014年10月から定期接種として接種費用の補助が受けられるようになりました。

 現在定期接種の対象となっているニューモバックスを用いた高齢者施設入所中の方1000人前後を対象に行われた臨床試験(Maruyama et. al BMJ. 2010; 340: 1004) では予防接種を受けることにより 肺炎球菌性肺炎の発症を63%減らし、肺炎を発症した人の中でも重症化する方の数が明らかに少なかったという結果が出ています。

 私(院長)自身も病院勤務時代、肺炎球菌による肺炎で急激な悪化をたどった患者さんの経験が複数あり、皆さんいずれも一命は取り留めましたが、予防接種をしていればそのような事態は防げていたかもという思いを強くし、以後さらに積極的に予防接種を皆さんにおすすめするようになりました。

 ワクチンで防げる病気はできるだけ予防して健康で長生きしたいものです(^^)